水耕栽培で温暖化対策(実施地域:中標津町 取材年月:2014年10月)

水耕栽培の低炭素化(LLC北海道新エネルギー事業組合)

高効率・省エネのハウス水耕栽培
道東の中標津町に事務所を構える北海道新エネルギー事業組合は、組合員の技術を結集して、二酸化炭素排出削減のための事業を行っています。今回は、その内の一つ、水耕栽培の低炭素化を目指す取組をご紹介します。
図1.jpg図2.jpg図3.jpgこの水耕栽培では、複層エアーハウスとヒートポンプシステムを取り入れています。複層エアーハウスは、ハウスに使うビニールが複層になっており、ビニールとビニールの間に空気が入ることで、断熱性能を通常よりも高めています。そのため、単層のハウスや、ハウスの中に小さなハウスを建てる場合と比べて、ハウスの広さを最大限活かしつつ、エネルギーを効率よく使うことができます。
ハウスは、部分的に3層になっているところもあり、また冬の積雪にも耐えられるよう、骨組みも頑丈につくられています。さらに、換気用の網戸や、夏の太陽光を遮るための遮光シートもあります。
ハウス内は、ヒートポンプシステム(温度の低いところから高いところへ熱を移動させるシステム)を使って温めていますが、中標津町では、真冬にマイナス20℃を下回ることもあるため、ヒートポンプだけでは寒い場合に備えて、灯油ボイラーも設置しています。
複層エアーハウスとヒートポンプシステムと併用することで、電気代や灯油代を削減することができることもわかっています。平成24年の事業開始時に行ったデータ測定では、灯油ボイラーによる暖房のみの場合と、ヒートポンプと組み合わせて使用した場合とでは、後者の方がランニングコストを半分程度にまで削減できました。

【写真1】 複層エアーハウス内部。幅10.8メートル×長さ92メートル。白い台の下を、液肥が入った井戸水が流れる。 種を植えてから60~100日程度で収穫できる。
【写真2】 事務所に隣接するハウス。3棟とも、高効率、省エネの水耕栽培を行っている。
【写真3】 遮光カーテンや換気扇は、制御盤で自動制御されているが、「結局は人間の感覚が一番頼りになる」とのこと。

新鮮な野菜を多くの道民に届けたい
このハウスでは、当初、オランダ原産のサラノバというリーフレタスのみを栽培し、札幌の農業法人が全て買い取っていました。しかし、地元をはじめ、多くの道民に自分たちが作った野菜を食べてもらいたいと、独自野菜の栽培も始めることにしました。
現在、北海道新エネルギー事業組合の事務所に隣接する複層式エアーハウス3棟では、サラノバのほか、小松菜やホウレン草など、計6種類の葉物野菜を栽培しており、一日1棟あたり300株程の野菜を収穫しています。そして、販路の拡大にも取り組み、地元の市場や運送業者の協力を得て、周辺地域のホテルをはじめ、北見や釧路、苫小牧、函館、帯広など、道内各地に出荷しています。

地域の低炭素化に貢献したい
北海道新エネルギー事業組合の代表社員組合長、寺端祐介さんに複層エアーハウスとヒートポンプの水耕栽培事業についてお話を伺いました。図4.jpg図5.jpg
「ハウス自体の技術は優れていると思います。ハウスの大きさを半分程度にすれば、より効率が上がると考えています。また、熱源を空気から地中熱にする方法もありますが、その場合はコストがネックになります。話題性のある複層エアーハウスのおかげで、バイヤーの方をはじめ、たくさんの方が見学に来て下さっています。また、給食用に仕入れて下さっているところからは、水耕栽培は土汚れがないので、調理しやすいという声ももらっています。今後は、栽培の回転率を上げて、経営を安定させるとともに、高齢者や、障害者の雇用、メンタルヘルスの問題を抱えている人を呼んで、作業や地元の人たちとの交流を通じてケアに取り組んでもらうなど、事業を通じて地域に貢献したいと考えています。私たちの事業の基本は『低炭素』です。今後も『低炭素』を軸に事業を発展させていきたいと考えています」。



【写真4】 栽培中の苗。年間を通じて収穫できるよう、栽培スケジュールを立てている。
【写真5】 北海道新エネルギー事業組合代表社員組合長の寺端さん。寺端さんの後ろにあるのは、水耕栽培で使うカルシウム、窒素、リンなどの液肥。液肥は自動制御されている。虫が少ないことから、低農薬栽培を行っている。

[水耕栽培の低炭素化 に関するお問合せ] ・HPはこちら    ・本記事のPDFはこちら

LLC北海道新エネルギー事業組合
 住所:標津郡中標津町字開陽1360-4 
 電話: 0153-73-2050
 FAX: 0153-73-3050

ロゴ.jpg省エネルギー・低炭素システムの普及・販売、自然環境の中に埋もれている未利用エネルギーを有効に活用するための研究・開発など、農業者をはじめとする町の基幹産業の活性化を図り、地域社会の抱える様々な環境問題解決の一助となるための取り組みを行う。