町営住宅で温暖化対策(実施地域:喜茂別町 取材年月:2013年11月)

環境対応型町営住宅(喜茂別町建設課)

地中熱ヒートポンプ暖房により
年間を通して快適な生活空間を実現した町営住宅

kimobetu1_photo1.JPG喜茂別町には、建物のエネルギー収支がほぼゼロとなる道内初の「ネット・ゼロ・エネルギー(ZEH)※1」の町営住宅があります。
この町営住宅は、暖房に地中熱ヒートポンプを活用し、窓や壁も高断熱の構造とすることにより、冬でも快適で暖房費を大幅に削減できるほか、給湯や照明などにも環境配慮型の設備が導入され、住みやすさと環境性能を兼ね備えた住宅になっています。
子育て世代のための、安心で快適な暮らしと環境配慮の両立を実現した町営住宅を紹介します。

※1 「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」とは?
建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ以下である建築物

(喜茂別町の紹介)
喜茂別町は、蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山をはじめ自然豊かな山岳景観を望むことのできる地域です。基幹産業は、農業で「アスパラガス」「ジャガイモ」「トマト」などが主要作物となっています。
冬の最低気温がマイナス30℃を下回ることもあるという道内でも寒さの厳しい地域です。

若者世帯の居住によって農業を守る
喜茂別町では、少子高齢化に伴う過疎化が深刻な課題となっており、平成7年からは、65歳以上の高齢者人口が全体の20%を上回る状態が続いています。こういった背景を受けて建設されたのが「環境対応型町営住宅」でした。この住宅には、若者世帯の入居によって基幹産業である農業を守りたいという町の思いが込められています。
新規・後継の営農者を確保するためには、子育て世代が安心で快適に暮らせて、光熱費などの費用も大幅に軽減される住宅環境の整備が切り札になるとの考えから、自然エネルギーを活用した町営住宅の建設が計画されました。

この町営住宅は「極寒地にもかかわらず建物単体のエネルギー収支がほぼゼロのZEH町営住宅」とのコンセプトのもと建設され、建物自体が断熱性能に優れた構造となっています。地中熱ヒートポンプの研究者として著名な大学教授の協力のもと、平成24年2月に木造2階建て1棟2戸の町営住宅が完成しました。

地中熱ヒートポンプによって安心で快適な住宅 

kimobetu1_photo3.jpg北海道の一般家庭にとって冬の暖房費は、家計の大きな負担となっています。この町営住宅では、暖房に地中熱ヒートポンプを採用することによって入居者の暖房費負担をゼロにしています。地中熱ヒートポンプシステムに必要な電力は、屋根に設置された太陽光発電システムで供給することによりZEHを実現しています。
また、外気を「アースチューブ」と呼ばれる地中に埋めたチューブを通すことにより、地中で余熱・予冷した後、室内に取り入れることができ、居住環境の快適性が保たれています。
火を使わない暖房であることから、乳幼児を育児する世代にも安心できる住宅環境が実現されています。
(右写真:住宅裏に設置されているアースチューブ)

人が住む実環境下でデータ収集をしています

kimobetu1_photo4.JPG町営住宅には、現在2世帯が居住しています。住宅の横には機械室があり、地中熱ヒートポンプシステムや太陽光発電システムの運転管理や温度コントロールがここで行われています。大学や研究機関の連携による試験的な設備導入ということもあり、計画時点でのシミュレーション結果と人が居住している実環境下での状況を比較し、改善を行いながらエネルギー使用量の最適化を図っています。
(右写真:機械室内部の様子)



[この取組によるCO₂削減量]
次世代省エネ基準の住宅に比べおよそ80%のCO₂を削減 (試算値)

地中熱ヒートポンプシステムを導入した住宅の建築工事費は、従来の町営住宅に比べて割高になるとのことですが、居住者が支払う光熱費の大幅な軽減は、子育て世帯を呼び込む大きなメリットになると考えられます。冬の寒さが厳しい北海道では、暖房に灯油等を一切使用せずに、暖かく快適な生活環境を確保できることは特に魅力的な要素になります。
住宅の快適環境と温暖化対策の両立を果たしたこのような新しいライフスタイル住宅の普及が今後期待されます。

[環境対応型町営住宅に関するお問い合わせ]

  喜茂別町役場 建設課
   住所:虻田郡喜茂別町字喜茂別123番地
   電話:(0136)33-2211