小水力発電で温暖化対策(実施地域:富良野市 取材年月:2014年9月)

自然河川での小水力発電(富良野地域小水力発電普及協議会)

自然の川を活かして発電
富良野市麓郷地区にある、ドラマ「北の国から」のロケ地近くを流れるしら とり白鳥川に、小水力発電の水車が設置されています。ここには、全国でもあまり例のない、自然河川に設置された水車があります。
図1.jpg自然河川は規制が厳しく、河床に手を加えたり、工作物を直接置いたりすることができません。そのため、この水車は、岸辺から川に向かって、アームでつるして設置しています。
水車の直径は2・25メートルで、アームの先だけで重さは260キロあります。増・減水時には、川の水量に合わせて、水車を上下に調整できるようになっています。
最大出力は200W、発電された電力は、ロケ地の外灯と、隣接する教員住宅の外灯に使用されています。

【写真1】 2011年12月に、富良野市麓郷地区の白鳥川に設置された。冬、氷点下25℃以下になることもあるため、水車が凍りついてしまったこともあるそう。でも、それも実験のひとつ。

市民による市民のための発電
図2.jpg小水力に注目したきっかけは、麓郷地区で農業を営み、市議も務めた故・熊崎健治さんの考えでした。
富良野は盆地で、日照時間は長くなく、風も比較的穏やかな場所が多いため、太陽光発電や風力発電の適地ではありません。一方、水力発電は、周りの山々から大小様々な河川が注ぎ込むため最適で、かつ24時間安定して発電できます。
熊崎さんは、富良野でエネルギーを自給することを目指し、熊崎さんの考えに共鳴する地域の人と一緒に準備を進めていました。そして、2010年、熊崎さんを顧問に、富良野地域小水力発電普及協議会が発足し、取組が進められることになりました。
自然河川での小水力発電は、前例がほとんどなく、設置に関する課題などわからないことが多いため、まずは試験的に設置すること、また小水力発電は、再生可能エネルギーの中でも認知度が低いので、普及啓発や環境教育としても活用できるよう、構造のわかりやすさや、メンテナンスのしやすさを考慮し、「開放型下掛け水車」と呼ばれる形にしました。
図3.jpg地元の灌漑機械製造企業が、製作した水車と設備小屋を地域に寄贈し、富良野市の予算と、観光協会や地域住民の協力を得て設置されました。今回お話を伺った、家次敬介さんも、中心メンバーのひとりです。
「今、自然河川で小水力発電を行う場合に、どんな問題が発生するのか、試行錯誤している真っ最中。今まで、このような取組がほとんどなく、様々な許可を取るのも大変ですが、これも実験のひとつだと思っています。何をどうすればいいのか、よくわからないので、それならまず自分たちでやってみる。それが私たちのやり方です。同じようなことをやりたいと言う人が出てきても、困らないように頑張っています」
図4.jpg「東日本大震災以降、再生可能エネルギーが注目され、固定価格買取制度も拡大したことで、首都圏からたくさんの企業が北海道に進出し、太陽光パネルや風車を設置して売電しています。しかし、本当にそれで続けていけるのか疑問です。この水車は、製造も設置も地元、メンテナンスも自分たちでできます。協議会は、主婦や農業者、会社経営者、議員など様々な市民で構成されています。私たちは、地元の人たちと一緒に、地元の未来を考えながら進めていくことが重要だと考えています」。

【写真2】 富良野と言えば「北の国から」。このロケ地「拾ってきた家」の入り口の隣に、水車へ続く道がある。
【写真3】 水車小屋内部。発電した電力は、ここで三相交流から直流に変換され、バッテリーに充電される。取材時は、80W発電していた。
【写真4】 発電効率よりも、わかりやすさを優先した水車。

自然と共にある暮らし それが富良野の生き方
家次さんに、富良野における今後の再生可能エネルギーの可能性について、聞いてみました。
「富良野は自然環境が観光資源であり、生活の基礎でもあります。自然と共生して暮らしていくのが富良野の生き方です。そんな富良野で、小水力発電を自然河川に設置したという意義は大きいと考えています。昨年、富良野市民が集まって『ふらの環境エネルギー株式会社(仮称)準備室』を立ち上げました。目的は、富良野盆地を100%再生可能エネルギーでまかなえるようにすることです。今考えられる最善のことを、地域の将来を夢見ながら、勝手にやりたいことをやっているだけなんですが、それが楽しいんです。あとは楽しいことをやり遂げるだけなので、実現は割と近いかもしれませんよ」。

[白鳥川小水力発電 に関するお問合せ] ・HPはこちら    ・本事例のPDFはこちら

有限会社 三素
 住所:富良野市錦町14番3号
 電話: 0167-22-0383

家次さん.jpg社名は、「太陽」と「水」と「風」という生命に必要不可欠な3つの要素に由来。太陽や水のエネルギーから電気を生み出し、水や土を汚さずに生活する。そんなことに取り組む一般家庭を応援したいという思いで始まった会社。家次さんは、北海道地球温暖化防止活動推進員や、ふらの市民環境会議会長等も務める。