老人福祉施設で温暖化対策(実施地域:美唄市 取材年月:2013年9月)

全空気方式の雪冷房(社会福祉法人恵和会ケアハウス ハーモニー)

雪冷房により電気代を節約
省エネ効果だけでなく夏の快適空間も確保された老人福祉施設

bibai1_photo1.JPG美唄地域では、豪雪地帯であるという地域特性を活かし雪氷熱エネルギー※1を農産物の保存や公共施設への冷房用冷熱源として盛んに利用されています。
ここでは、そのうちの1つである老人福祉施設「ケアハウス ハーモニー」の雪冷房を紹介します。この施設では、送風機を用いて貯雪庫内の雪で冷やされた空気を直接部屋に送り込み、室内との間で空気を循環させる「全空気方式」の雪冷房が採用されています。

※1 「雪氷熱エネルギー」とは
豪雪地帯において雪氷を夏季まで保存し、低温、高湿度の環境を安定的につくり出すことのできる環境にやさしいエネルギーです。雪冷房のしくみには3つの方式があり、送風機を用いて貯雪庫内の冷やされた空気と室内の空気を循環させる「全空気方式」の他に、雪解け水を冷媒として熱交換器で室内の空気と接触させることで冷やす「冷水循環式」や特別な機器を用いず貯蔵庫の中で雪の冷熱を自然対流させる「自然対流方式」に区別されます。

(ケアハウス ハーモニーの紹介)
美唄市の中心部より2kmほど離れた美唄川のほとりに位置する老人福祉施設です。
入居者が自立した生活を営めるよう単身者用居室と夫婦用居室が用意されており、健康で有意義な生活が営まれるよう、各種サービスが整えられている施設です。

快適な生活環境をつくる雪冷房
雪冷房の優れた点は、冷房機能だけでなく、除湿・除塵・脱臭などの効果も期待できるところにあります。
この施設では、建物の1階部分に雪冷房を導入しており、これで1階の全フロアを冷やしています。1階には食堂や談話コーナーがあるため、入居者は快適な空気環境下で食事や友人との会話を楽しむことができます。
冷風は、窓際に設置されたカウンターのダクトから吹き上げるしくみになっており、直接風があたらない人にやさしい冷房となっています。

この施設で採用されている「全空気方式」の雪冷房は、送風機によって雪を貯めておく貯雪庫と生活空間である室内の空気を循環させることで冷房を行います。この方式は、一ヶ所で制御調整が可能でオープンな広い空間の冷房に適しています。

建物内部の空気の流れを考慮して設計
bibai1_photo3.jpg雪冷房を使用する室内には、冷風の送風口の他に室内の空気を貯雪庫に送る吸気口が必要です。この施設では、建物内の自然な空気の流れを調査し、吸気口の位置を決めることで無駄なく冷房できるよう工夫がされていました。
送風機は、室内温度が26℃を超えると作動するように自動制御されており、一般的に使用されるインバーターエアコンの1/2~1/3の電力で冷房を使用することが可能です。
(右写真:室内に設置されている吸気口)

貯雪庫と居住施設を分離することで夏季までの雪氷保存効果が向上 
bibai1_photo4.jpgこれまで雪は冬の活動を阻害する厄介者としてできるだけ早く除排雪や融雪されてきましたが、雪冷房として利用する場合には、逆に雪をいかに長く保存するかが重要になります。
この施設では、貯雪庫を居住空間から離れた位置に設置することで、生活空間から排出される熱の影響を受けない構造にしています。また、貯雪庫の内部はもとより扉部分にも断熱材を貼るなどの工夫をして外部からの熱の影響を遮断しています。このため、121トンの雪貯蔵で、1日6時間冷房を使用したとしても6月中旬から9月中旬頃までの3カ月間は冷房を使用でき、暑さの厳しい期間すべてを雪冷房で過ごすことが可能です。
(右写真:居住空間と分離されている貯雪庫(右側))

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[この取組によるCO₂削減量] 
一般的に使用される冷房に比べ雪冷房で年間2t-CO₂を削減

この施設は、平成14年に開設してから10年が経過しているにもかかわらず、雪冷房設備に関して大きな故障はこれまでに発生しておらず、毎年稼働しているといいます。長寿命で環境にやさしい雪冷房の普及が今後も期待されます。

[ケアハウス ハーモニーの雪冷房設備についてのお問い合わせ先]

  社会福祉法人恵和会 ケアハウスハーモニー 事務課
   住所:美唄市東7条南2丁目5番23号
   電話:(0126)63-0533