●食材王国 北海道だからできる温暖化対策
では、実際にどの程度のCO2排出量削減に結びつくのでしょうか。これは、輸入先、食材、輸送方法により大きく異なるため、一概に試算することは困難ですが、ここでは、例としてアメリカ(モンタナ州)から輸入される小麦1トン vs 北海道十勝地域で生産される小麦1トンを、札幌まで輸送する場合に排出されるCO2量を考えてみます。
まず、輸送手段は、海路がコンテナ船、陸路がトラックで輸送される場合を考えます。海路は1トンの積荷を1km運ぶのに20.7×10-3 kg-CO2-①※2、また、陸路は1トンの積荷を1キロ運ぶのに116×10-3 kg-CO2-②※3という排出係数を利用します。これら数値を用いると、CO2排出量は下記の式で計算できます。
輸送に際し排出される二酸化炭素量 = (①×海路輸送距離 + ②×陸路輸送距離)×輸送量
さて、アメリカから札幌までのおおよその距離は、海路8,270km、陸路が1,912kmですから、輸送に際し排出されるCO2量は上記計算式より、およそ393 kg-CO2、一方、十勝から札幌までのおおよその距離は陸路で212 km ですから、およそ 25 kg-CO2 と計算できます。この輸送に際して排出されるCO2排出量を比較すると、十勝産はアメリカ産に比べるとほんの5%程度ということになります。
この通り、「地域のものを地域で食す」ということは、CO2排出量削減に結びつくと言えます。特に、我々の住むこの北海道は、日本一の生産量を誇る食材は「32※4」にものぼり、また、北海道に限った食料自給率では、約200%にも達しているのです(左図※5参照)。安心・安全な食材への関心の高まりとともに地域産食材が見直されていますが、そこに「地産地消=温暖化対策」という理解を加えていただき、多くの方に実践していただければと思います。
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